書評『公募ガイド』小説の役に立つオススメ号を紹介

お題「愛用しているもの」

 小説を書いてなにか賞に応募しようと思うと、

ネットで調べるより『公募ガイド』を見た方が早かったりする。

 

公募ガイド 2018年 06 月号 [雑誌]

公募ガイド 2018年 06 月号 [雑誌]

 
公募ガイド 2016年 10 月号 [雑誌]

公募ガイド 2016年 10 月号 [雑誌]

 

 上記の二つは、私が小説を書くのに重宝している号である。

 公募ガイド2018年6月号

今すぐ直せる! うまくなった気になる!

文章の30の基本      22ページより

と表題があるとおり、

商業レベルの文章にするための基本を知ることができる。

私が購入を決めたのは「07文末に変化を」

を立ち読みしたからだ。

現代文の文末には「だ」「た」ぐらいしかないので、同じ語尾がいくつも続くようなら注意。(中略)現在形にしたくなるが、安易に現在形を使うと素人くさくなる。

私は文末を現在形で書いていた。

ここで初めて現在形がいかんのだと知った。

こんなのどこで習うんだよとかキレかけながらレジへ向かった。

このような業界の基本が30ほど列挙されている。

小説の作法が気になる人にオススメである。

公募ガイド2016年10月号

私は2015年4月に小説を書くと決めた。

それから1年かけて

処女作『スターバード・ビュー』を書き上げた。

働きながら毎日チマチマ書いていた。

あとにも先にもあれだけ熱中したことはなかった。

どんなに疲れてても続きが書きたくてしかたなかった。

ようやく小説を書き上げる自信がついた頃に

この公募ガイドに出会った。

見所は、11ページから23ぺージまでの

スタートラインの数々である。

次の物語がモヤモヤとして困っているときは

このうちのどれかから書き始めることができる。

1 物語の設定を考える 11ページ

テーマ・ログライン・シノプシス

私はテーマだけしか知らなかった。

ここでは、モヤモヤへの問いかけがたくさんある。

物語の形をはっきりさせたい人はここからだ。

2 物語には型がある 12ページ

物語の型は一つしかない

「行って帰ってくる話」

まず冒頭の見出しで衝撃を受ける。

物語は無数にあると思っていたからだ。

すべての物語は、

行って帰ってくる話でまとめられてしまうのだ。

縦軸横軸のグラフに

Y二乗イコールマイナスaX

の放物線で説明してくれる。

3 キャラクターと機能 14ページ

キャラクターの相関関係を述べている。

主要キャラクターとサブキャラクターの

書き分けが説明されている。

性格は三つ組み合わせると

ステレオタイプでなくなる

これと三十の性格、それの出典

 

人さまざま (岩波文庫 青 609-1)

人さまざま (岩波文庫 青 609-1)

 

 を紹介してくれるのは地味に嬉しい。

 

4 物語の文法を学ぶ 16ページ

三大物語論なるものを紹介している。

 

昔話の形態学 (叢書 記号学的実践)

昔話の形態学 (叢書 記号学的実践)

 
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 
物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

 

 これらの論を並列した表が優秀である。

5 ストーリーメイク実習 18ページ

物語の文法の使い方の実践を二人分例示してある。

どのように物語を組み立てるのか参考になる。

6小説を書くテクニック 20ページ

書く前に決めておくこと、枚数と人称と視点

小説の文章は、会話と説明と描写でできている

説明せず、五感で描写し、視線の移動をスムーズに

情景をつぶさに見る眼と全体を俯瞰してみる眼

テーマで統合されているか、テーマは感じられるか

五つの見出しはどれも耳に痛い。

好き勝手に書きたい性分だからだ。

独りよがりの小説にしないためにも

常に意識したいことばかりである。

ストーリー作成シート 22ページ

この号の最大の目玉である。

私はこれをパソコンに入力し、

書く前の儀式として使用している。

主人公の視点に立って物語を見ていく表となっている。

主人公の視点に立つことは読者の視点に立つことなのだ。

おわりに

いかがでしたか、

なんて書くのはいかにもブログっぽくて嫌なのだが、

これだけは小説を書くのにオススメできるので紹介した。