書評『英雄のようなカナシウス』
古代ギリシャ風の人たちが、地球ではないどこかで蛮族の王と戦った。
蛮族との戦いは九十九戦全敗だった。
蛮族の王に支配される未来がちらつく中で、
くじ引きで選ばれた英雄カナシウスは仲間と奮闘する。
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— 我有一徹@カクヨム (@gayu_my_way) 2019年3月17日
見所を簡単に書いていく。
カタカナの部分は古代ギリシャか日本の古語を用いており、
耳慣れない音にたくさん触れられる。
ギリシャ神話から抜け出してきたような巨人との戦いや
哲学者との裁判闘争がある。
戦争・奴隷・裁判・哲学者・都市国家。
古代ギリシャの文化、ポリスを中心とした国家群の社会。
といった所だ。
神官と巫女という特殊能力者が存在する。
神官はどんなに小さい声でも聞くことができる。
神官同士はどんなに離れていても会話ができるのだ。
巫女は魔法使いのような存在で、
自然を操ったりどこからともなく道具を作ったりできる。
主人公のカナシウスは英雄として、
神官戦士や巫女、はては盗人と一緒に蛮族の王へ挑む。
ロールプレイングゲームのパーティを意識した構成になっている。
ゲームの世界のような試練が次々にカナシウスと仲間達に降りかかる。
くじ引きの英雄は、試練を乗り越えるたびに本物の英雄へ近づいていく。
クライマックスは静かに湛えた水面の下で煮えたぎるマグマが脈打つようである。
読後は、抹茶を飲み干した後のような爽やかな苦さを味わえる。